後輩の存在と私の克己心

剣道には、「段位」が定められています。

「有段者」と一言でいっても、その段位の幅は、最高段である八段から、初段まで八段階あります。さらに、初段の下位には、級位もあります。

段位は、単純に、稽古年数を重ねるだけで、自動的に上がっていくものではなく、各段位を取得するためは、最低限必要とされる修業年数を経た上で、昇段審査を受けて「合格」しなければなりません。

年齢・性別・経験年数にかかわらず、どれくらい剣道を理解し、それを実践できるか・・・そこが問われるという感じです。

そして、いったん、道場に足を踏み入れると、そこには、段位・級位に基づいたヒエラルキーが存在します。

以前も、審査や道場におけるヒエラルキーについて少し、したためたことがありますが、今回は、また別の角度から、「段位」がもたらす現象について考えてみようと思います。

参考ブログ

わたしたちの道場は、とってもこじんまりしています。

先生1人と、生徒さんが名簿上は約10名ですが、実際の稽古では、平均3-4名といったところです。そして、ほとんどの皆さんが、大人になってから剣道を初めて志した方々です。

生徒さんは、最高段が五段、そして、それに続くように四段、三段、二段が、1名ずつ、それ以外は、1年以内に剣道を始めたばかりの初心者さんたちで構成されています。

このように、非常にこじんまりしたメンバー構成で、日々稽古をしているせいか、稽古を続けていると、自分のことだけでなく、一緒に稽古をしている他の生徒さんの変化にも敏感になっていく気がします。

仮に、年齢性別関係なく、段が上の有段者を「先輩」、先輩より段が低い有段者・無段者を「後輩」と、ここでは呼ぶことにしましょう。

どこの道場でも見られる風景かと思いますが、例えば、後輩が、気剣体の一致がなかなかできないとき、先輩は、「こうやってみたらいいよ」とか「そうそう、そんな感じ!できるようになってきたじゃーん」などといいながら、後輩の成長を応援・サポートすることと思います。

形稽古においても、「うーん、そうじゃなくて、ここは、こんな感じの気持ちを込めてやってごらん」とかいいながら、後輩が、形に興味を持って学習できるように手助けします。

そうやって、先生や先輩からの指導・サポートを得ながら、まじめに稽古を積み重ねていった後輩は、メキメキと上達していくことも多いかと思います。

そして、遂に、この日が来ます!

1年前には、後輩に対して「はいはい、私もねー、昔はこれできなかったんだよー。でも、こうやってやるといいかもよー」とか、余裕かましてアドバイスしていたのに、その後輩が、今では、自分より上手に、面返し胴を決めてきたり、試合稽古でもめっちゃいいタイミングで出小手を打っていたり、素早い面で有効打突を決めている姿を見ていると、先輩は、心の中できっとこう感じるはずです。

「やっべー!私、後輩に追い抜かれちゃうよー!」・・・・って。

なんなら、実際に後輩相手に、試合稽古をしたときに、自分が負けちゃうことも「あるある」ですよね。

先輩としては、後輩がめきめき上達していることに対して、「すごいわー!」って感じる部分もあることはあるんでしょうが、多分、それよりも心の大半を占める自分の感情は、

やっべー!!

ではないかと思うのは、私だけでしょうか?

あれ、わたしだけ?

あるいは、こんなパターンも、、、。

入ってきたばかりの初心者さんが、剣道の経験がないのにも関わらず、いとも簡単に、素晴らしい気剣体の一致の面打ちを放ってきたりしたとき、そのことに驚愕するとともに、「やっべー!この人、すぐに私を追い抜かれちゃうかも!」って、いきなり、不安になったり・・・。

私は、3年かけてもできなかったのに・・・

でも、ここで、考えないといけないことは、

なんで、こういうとき先輩は、「やっべー」とか、後輩が自分より上達していく姿を手放しで喜べずに、どっちかいうと不安な気持ちにからてしまうものなのでしょうか?

ちょっと、参考意見として、チューダン君の考えを聞いてみましょう

いやー、だって、それはそうでしょう

僕の方が段が上なのに、自分より段が低い人に負けるなんて

超カッコ悪いじゃないっすかー

ふむふむ、なるほどね。そりゃ、そうだよね。

じゃあ、チューダン君は、私・・・、つまり、相手が、チューダン君より身体が小さい、女の猫だったとしても、段位が、チューダン君より上だったら、私に負けてもあんまりカッコ悪いとは感じなにのかな?

そこんとこはどうなの?

うーん。

微妙ですけど、ぶっちゃけ、

自分より小さい猫ちゃんに負けたら悔しいですけど、

「春センパイは、俺より高段者だから仕方ないな」って

自分に言い訳すると思います。

おお・・・なるほど。

ということは、チューダン君にとっての「段位」って、自分vs他の剣士の位置関係を示すうえでのかなり重要な指標ってことだね。

だから、自分の方が段が上なのに、後輩に負けたり、追い抜かれたりされることに焦りを感じたり、不安になっちゃって「やっべー」って感じちゃうってことね・・・。

でも、ここで、面白いのが、先輩は、自分が「やっべー」って思いたくないからといって、後輩の上達を止めることはできないよね。後輩を上達させるためのアドバイスやサポートをすることはできたけどね。

ということは、先輩が感じちゃってる「やっべー」という感情は、どうしたらなくなるのかしら?誰だって、こんな不安な気持ち抱えながら稽古するのっていやだもんね・・・。

確かに・・・

稽古に集中したくても、

後輩が気になって、いい稽古ができてないっす

実生活でも、こういうことってあるよね

自分と他人を比べて

他人のことが気になってしかたなくなっちゃうこと

私が思うに、この「やっべー」感情を克服する道はただ1つ!あくまでも「春ちゃん調べ」の調査結果ですよ♡

それは・・・

「自分を見失わないで、自分自身の上達に気持ちを集中させること」です。

自分の目指したい剣道があるのであれば、途中の道のりで、いろんなことがあっても、心揺さぶられずに、自分の定めた道を地道に歩んでいくしかない・・・って思っています。

自分と他人を比べて、自分の方が劣っているかも・・・とか、いやそうじゃないかも・・・とかを考えることに、どんな意味があるのかな?ってことが、日常生活でも剣道でも言えるのではないかと思っています。

みんなそれぞれ、自分の目指す剣道があるのであれば、過去の自分と今の自分を比べることは大切ですが、目指すものの違う他人の剣道の一部を切り取って、自分と比べて焦ったり不安になったりすることは、あんまり意味がないですよね。そんな気持ちに自分の心が捕らわれるよりも、素直に、その後輩の成長を気持ちよく喜べる先輩でいたいなっと思います。

後輩と試合をやって負けてしまうこともあるかもしれないけれど、その時には、自分には何が足りないものがあったんだから、それが何かを考えて、そこを補うための稽古を、また積んでいけばいいだけだ・・・と思うようにしています。

・・・・と、こんな風に、偉そうに書いてる私ですが、やっぱり、試合で後輩に負けるのは、感情的に穏やかではありません。でも、そこで、自分を見失わないために、自分を律して、自分の感情をコントロールしながら前に進めるように頑張らないといけないんだなって思います。

いやー「克己」だよね、、、またもや。

そして、「段位」って何のためにあるのか、また考えさせられるよね

とにもかくにも、後輩の存在が、私の克己心を鍛えてくれるんだ、、、、と思うと、後輩の存在にも感謝ですな。

そんなわけで、また明日も稽古に行ってきまーす♪

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